矢もいろいろ
今回は矢の話題です。
師範は本当にたくさんの貴重な弓具を持っておられたので、麦粒の矢とか、砂摺りの矢とか、杉成の矢とか、今の一般的な一文字以外の矢もたくさん持っておられ見せて頂きました。
残念ながら、師範の矢尺は私より短かかったので、貸していただくことはできませんでしたが…。
師範は、最近は良い矢を作ってくれる矢師の先生が減ってきていると嘆いておられました。
八角箆への憧れ
さて、道場で指導いただいている先生が八角箆の矢を持っておられます。秋田の則竹先生の作品です。
先生は、常々、「振り返ると、その矢を使うようになって、大きな大会や審査で良い成績が出るようになった。」と話されます。
良い矢を使うことも大事なのだと思いました。
思い切って注文
数年前に、良い竹矢を買いたい、という思いがあって、思い切って八角箆を注文することにしました。則竹先生は既に亡くなられておられますので、御矢師、永澤繁竹先生に、特上八角箆を依頼しました。
実際に依頼しますと、「納品まで1年以上かかります」というお返事でした。一生物と思って、時間がかかっても良いので、お願いすることにしました。
そして、約1年後に、28gの特上八角箆、届きました。
なんと美しい箆でしょう。
素晴らしい仕上がりです。
筈側から見た箆
矢尻側から見た箆
羽根の部分、矢尻の部分は八角ではなく、丸く、中央部が八角になっています。
ものすごい技術です。
羽中節まできれいにそろっています。
届いたとき、ずっと見入ってしまいました。
八角は九角なのか
さて、八角は九角なのか。
昔から、八角箆は実は九角、ということを聞いたことがあるのですが、実際にみてみると。
付箋をまいて、角に印を打っていきます。
数えると…。九角でした。
なぜ九角なのか聞いてみたいと思いながら聞けていません。いつか聞いてみたいと思います。これもまた、すごい技術だと感服いたしました。
なぜ、八角が良いのか?
個人的には、使ったことは無いですが、砂摺りが一番矢飛びが良いのではないかと思います。水泳のレーザーレーサーという水着が早く泳げる、ということで話題になったことがありますが、あの水着は表面にサメの肌から研究した、凹凸(溝)がつけてあるそうです。
表面が平滑よりも返ってその方が、サメはイルカなどより早く泳げる、というところからヒントがあったそうです。
なので、矢も流体力学的には、凹凸がある方が、早く飛ぶのではないかと想像します。そういう原理につながる砂摺りという加工だったのではないかと、想像しています。
八角もそのような原理で、単なる丸い箆よりも、矢飛びが良いのではないかと思っています(あくまで個人的な想像です)
とにかく精度がすごい
実際に手にとってみると、何よりも、その精度に驚きます。重さも変わらず、丸から角になる位置、形、4本ともすべて揃っています。この時点で、凹凸どうこうよりも、ランクが上の箆であるほど、精度が高く、矢飛び、矢所が安定するのは、当たり前なのではないかと思いました。
実際に使ってみると、矢飛びはやはり良いと思います。そもそも芸術的に美しい矢で、引くのがワクワクするので、そういう気持ちの面で何割か評価があがってしまっている気はしますが…。実際のところは全く同じ重さの通常の矢を持っていないので、厳密には比較はできないのですが…。
この時点では、まだ羽根を矧いでいませんので、どんな羽根をつけよう?どんな色の糸にしよう?と考えるのも、楽しかったです。弓具店で、自分の矢尺、重さにあったものをその場で買うのも良いですが、最初から注文で購入するのも良いと思います。
良い道具を使う、といのは、気持ちも高揚し、モチベーションも上がりますね。
射も良くなるので、本当に道具に感謝です。