弓道とDIY

中仕掛けを5分で作る?!そしてすぐに使用可能、くすねを使った中仕掛けの作り方

 今回は、中仕掛けの話です。
 弓道をしていると、一定期間で弦が切れるので、定期的に弦を作ることになり、矢を番える部分とかけがあたる部分を太くする「中仕掛け」を作る必要があります。
 中仕掛けの作り方はググればいろいろ出ていますし、それぞれの作り方で、先輩に習った作り方、それから自分が工夫した作り方で、問題ないと思います。
 今回は私が紹介するのは、亡くなった師範が稽古中に目の前で作って下さった中仕掛けの作り方で、一瞬で中仕掛けを作られて、すぐに使えて衝撃を受けたので、それを紹介します。
 ちなみに、麻弦、にべ弓、という組み合わせですので、学生さん向きではありませんが、くすねの部分をボンドや糊で代用すれば作り方は一緒です。その場合すぐは使えず、乾くのを待つ必要があります。
 合成弦でもくすねで中仕掛けを作っていけないわけではないので、弦がくすねでべた付くのが嫌でなければこの方法でも問題ないと思います。 動画でも紹介しているのでご参照ください。

この作り方を知ったきっかけ

 今回紹介する中仕掛けの作り方ですが、通常中仕掛けは身近な先輩に教わることが多いと思います。私も最初はそうでした。
 学生時代、師範のお宅で稽古をつけていただいていたときに、弦が切れて、たまたま替弦が無くて、「弦がないので見学します」と言ったら、「弦はあるのか?」と聞かれ「弦はありますが、仕掛けができてません」と言ったら、「じゃあすぐ作れるよ」と言われ、「でも、作ってもすぐ使えませんよね」と返事をすると「すぐ使えるよ」と言い出して作ってくれたのが、この方法です。高校時代はボンドで作っていて、大学時代は糊で中仕掛けを作っていましたが、流石にその日作って直後に使うという感覚はありませんでした。くすねで作っているのですが、その後、この方法を真似するようになりました。

実際の作り方、番える位置

 

 

 実際の作り方ですが、まず、番える位置に印をします。私は的中定規を使わず、巻藁矢に番える位置を書いています。使っている弓が何張かあって、それぞれ弓の強さが違うので、弓によって、この印から筈半個上とか、1個上とか決めて調整しています。また、弦も、使っていると伸びて、この位置が変わってくるので、常につがえる位置が一定になるように練習前、試合前にチェックしています。

 実際に番える位置に印をします。黒は最終的に目立つことがあるので、茶色の油性ペンを買いました。

仕掛け用麻

仕掛け用麻です。麻弦を使っているので、切れ弦をほどけば、いくらでも手に入ります。お湯につけてほぐして、私は0.25gずつにわけて保存しています。これは、師範は手の感覚で仕掛け麻の量を決めていたようでしたが、私もある程度はできるのですが、多少太さにばらつきが出ます。ある時、長さを統一して、重さを量って作るようになってから、びっくりするくらい一定の太さで作れるようになったので、それ以来採用しています。これをするようになってから、筈が入らない、筈が緩いという経験をほとんどしたことがありません。

この計り自体は、矢の重さを量るために購入したもので、小数点二桁まで量れるので重宝しています。

 

牛革とくすね

これは、牛革にくすねを付けたものです。これを弦でこすると溶けて、接着剤になります。師範は、ちゃちゃっと上下にこすって、中仕掛けの位置で少し多めにくすねを付けて一気に作り始めていました。私は、上下にこすると弦にくすねが付きすぎるので、少しライターであぶったりしてくすねを少し柔らかくしてから、中仕掛けの部分上下をこするくらいですむようにしているときもあります。

くすねを付ける

 

先ほどのくすね付き牛革を、番える位置を中心に上下にこすってくすねを付けます。アップにしたら付いているのがわかります、触るとベタベタです。

麻を巻く

これもいろいろググれば出てくると思うのですが、私は、左4右6くらい、または左3右7くらいの長さで巻き始めます。右側の方が後から巻くので、長くしておくと、きれいに仕上がります。

 麻を弦の上側から当てて、左から巻き始めます。左から巻く方が、弦全体のよりの巻き方と逆向きになっています。そして、右側の長い方を後から巻きます。 右側の方の巻く向きは、弦全体の巻きの向きと同じになるので、きれいに仕上がり、最後にまぐすねをかけるのも同じ方に捻ることが可能になります。

 私は、最初の印から、筈2個分くらい上から巻き始めています。この弓の場合は実際に番えるのは印より筈1個上なので、実際には番える位置から約筈1個分上から巻き始めることになります。この辺は個人の弓の強さや好みで決めて良いと思います。

左側の短い方を巻く

 

まず、左の短い方を巻きます。こちらは後で上から右の分がくるので、下の方は多少いい加減でも良いです。むしろきっちりやると段差が目立つので、すこし間隔開けてなめらかに終わる感じにしたりします。巻くコツは、重ねず隙間を開けずです。ただ、長さや厚さを調整するときは多少重ねることもあります。

もう一度くすねを付ける

短いほうが巻き終わったら、もう一度くすね付き牛革でくすねを付けます。

右側の長い方の麻を巻く

次に右側の長い方の麻を巻きます
こちらは、仕上がりになるので、きれいになるように意識して、重ねず隙間を開けず巻いていきます。

道宝を使って締める

 

巻き終わったら道宝を使って締めていきます。道宝は右を前に出して、左を手前に引くときに力を込めます。反対にすると緩みます。後半の仕上げのときは、両方 向に力を込めたりすることもあります。上から締めるで良いのですが、実は一番下がばらけることが多いので、一番下だけちょっと締めておいてから、上から締めていきます。

上から締めていく作業を何回か繰り返すと、きれいになっていきます。

まぐすねをかける

 

 

以前作ったまぐすねを使います。
 まぐすねにもくすねを塗ってあります。ちょっと熱がかかるくらいこすると、仕掛けの麻に、最初に塗ったくすねと、このまぐすねからのくすねが染み込んで良い感じに仕上がります。

まぐすねは上から下にかけるときに力を入れて、少し右回りに捻りながらかけます。整ってきたら、上下方向とも力を入れて整えます。

できました。

完成です。

巻藁矢で筈の具合を確かめます。OKです。

的矢も筈の具合を確かめます。 的矢と巻藁矢の筈の幅は同じにしていますので、当たり前ですが、OKです。
これ、すぐに引いても問題ありません。 実際このまますぐ引くこともあります。
以上、師範に教わった、5分で作れる中仕掛けでした。

まとめ

 実際には、前後の準備などを合わせれば5分ではないですが、印をつけてから最後のまぐすねまでは急げば5分くらいでできてしまいます。この方法で作った弦で、普通に試合、審査に出ています。
 ただ、替弦そのものを作るのは実は2日がかりで作っています。弦輪が替弦を作ってすぐだと、緩くて、その後締まって弦全体としては伸びるからです。なので、すぐには中仕掛けを作らず、弦を張って1日以上経ってから作っています。弦輪を作ってすぐに中仕掛けを作って、その後弦が伸びて翌日に番える位置が変わって、それに気付かず、試合で外してしまったことがあり、その反省で以後そうしています。
 というわけで、くすねを使っての中仕掛けの作成の紹介でした。参考にしていただけたら幸いです。

動画でも紹介しています。

【弓道】中仕掛けの作り方、5分で作ってすぐ使える。
(Youtubeへのリンク 別ウインドウで開きます)

 

 

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