カブトムシの観賞と産卵を両立させる飼育ケース
先日カブトムシの飼育小屋を紹介しました。
今回は、屋内用の飼育ケースのDIYの紹介です。
構想は5年くらい前からあったのですが、時間がなく、またすぐにカブトムシのシーズンが終わってしまうので 作れずじまいでした。
屋外の飼育はコンテナの飼育小屋でうまくいきます。土の量が多いと温度も水分も安定するので、大抵卵もしっかり産んでくれて回収もできます。
ですが、昨年はあまりにも暑く、 屋外飼育を断念し、室内で飼いました。
室内で普通の飼育ケースで飼うと、土の量が足りないので、あまり沢山は卵を回収できません。かといって、土の量を多くすると、成虫を観賞する空間が小さくなり、いまいちです。さらに土が少な目だと、幼虫が育つのを待って1ヶ月くらいケースを放置するんですが、その間に土が乾いたりして幼虫が育たないこともあります。
毎年これを両立させる方法はないかなあと考えていました。
なぜそう考えるかというと、一番カッコいい成虫を室内の観察用のケースに入れるのに、その個体の幼虫が育たないからです。
イメージとしては普通の飼育ケースの倍くらいの高さがあるケースのイメージです。 ただ強度的な不安と、最後の幼虫の回収を考えると、上下に別れる方が良さそうです。大きめの円筒のアクリルなどで底を閉じてつくれるかなあと考えたこともありましたが、大きい円筒アクリルは高価です。
コンテナボックスの上に観賞用飼育ケースを増設する
飼育小屋を参考に、コンテナボックスの上に観賞用飼育ケースを増設する設計を考えました。
実際に図面に書こうとすると、頭の中で考え切るのはかなり難しかったので、思いきって実物の上でどんどん組むことにしました。
さて、今回の材料です。端材や実際に買った木材などです。写っていない木材も結構あります。基本的には15mm×30mmと15mm×15mmの木材、アクリル板、金網、網、金具でできてます。写っているコンテナの上に乗る形で作ります。
材料の切り出し、アクリル板用の溝に苦戦
切り出しました。途中がメチャクチャ大変だったのですが、夢中だったので写真撮り忘れています。
何が大変かというと、アクリル板を固定するために全てに溝を掘っていることです。
丸鋸の直線切り用の治具の下に、垂直に固定した板を設置します。これは、ウッドワン風家具の作成の時に使っています。丸鋸の歯の位置から5mmの高さに木材を固定します。そこに丸鋸をかけると溝ができます。 歯の幅だとアクリル板にはまだ狭いので、治具の左端の丸鋸の抑えが当たるところから約1mm離してもう一度丸鋸をかけると調度良い幅の溝ができます。
この方法を確立するまで大変でした。クランプを2カ所で固定すると、クランプの付け外しが大変だったのですが、中央1か所固定で、だいぶ作業がへりました。丸鋸盤(テーブルソー)があれば簡単ですが、持っていないので…
それと、アクリル板はグルーガンで接着すればかなり簡単にできるのですが、それだと見栄えや耐久性に問題が出ます。大変ですが、ひたすら溝を掘りました。
ちなみにアクリル板の幅が2mmなので、今回はトリマーは使いませんでした。
ということで半日かかってここまでできました。
組み立て工程、結構力技
次に組み立てます。
そもそも15mmの木材に、溝を掘って固定していくので、かなり華奢です。ネジもどこにかかるか思案しながら組み立てました。
トライ&エラーみたいな 感じで作っていました。20mmの木材で作っても良かったのですが、仕上がりがゴツくなりそうなので15mmで頑張りました。
細い木材でしたが、なんとか組み上がりました。ここまでくればイメージ湧きます。 木材の切り出しの時は、息子に説明してもさっぱり伝わらず、全然手伝ってもらえませんでしたが、この辺からは分かってもらえます。
ちなみに、側板と天板に使っているアクリル板ですが、現在では廃盤で、昔ダイソーで売っていた透明アクリル板です。
2mm厚で、210円です。ホームセンターでは500円くらいします。今回のようなDIYのために、以前これを大量に買い込んでいました。まさに今が使い時です。ダイソーさん、また出してくれないかなあ。今は乳白色のものしか手に入りません。
ちなみに、今回は、正面の大きなアクリル板のみ、新規で買いました。こちらは1.5mm厚です。700円くらいでした。
金網と網の取り付け、ベニヤを貼って樹皮を貼る!
木材とアクリル板の固定ができたら、金網と網を貼っていきます。 空気穴的な 網の部分は後面だけ、もしくは天板だけでもよくて、室内だと臭いも気になるので、天板だけでも良いかもしれません
なので、 後面は全てベニヤで蓋してしまって作ることも可能です。 ベニヤより金網の方が カブトムシが掴まりやすいかなと思って結局金網を採用しました。内側が金網、外側に網戸用の網を貼っています。 作業の写真がないですが、タッカーでひたすら固定しています。
さて、後ろが全面金網だとさすがに臭いも強いかなと思い、半分ベニヤ固定することにしました。この時、その板に原木の樹皮を貼ったら格好良いかもと思い付きました。結果的にこのアイデアがテラリウム風に仕上がることとなりました。
樹皮を貼るのに、アクセントをつけたくて、ベニヤを斜めに切っています。
ベニヤ固定後、樹皮をタッカーで固定しています。樹皮が脆いので あまり強くは固定できず、軽めの固定です。
でも、結構良い雰囲気になりました。
蝶番とロック
この後、天板を蝶番固定します。蝶番固定は過去の作品で結構苦労しているので、注意して固定しました。なんとかスムーズに開閉するように固定できました。(同じ写真ですみません)
蓋のロックを取り付けます。
いろいろ金具はありますが、今回はこのタイプを利用しました。
ただ、トライ&エラーで作っていった感じなので、細部には段差ができたりしています。
アクリル板の溝が深かったので正面の板の高さが足りなくなっています。
ここは、力技で補正します。
プラ板を高さが合うようにスペーサーにして固定しました。
これで、蓋の ロックができました。
コンテナボックスとの接続
さて、コンテナボックスとの接続です。
こちらも飼育小屋を参考に、M3のボルトを下からさして蝶ナットで固定しています。
前方は一度失敗して穴を開け直しています(穴が思ったより奥になってしまい、ボルトの頭が干渉した)。まあこの辺は手作りと言うことで。飼育小屋もいっぱい穴空いてます。
こんな感じで、蝶ナットで固定しています。
逆向きにボルトをさせば、あまり目立たなくできるのですが、固定が面倒なのでこの向きで止めています。
コンテナにお気に入りのマットを入れる
去年は悩んで腐葉土だけで 飼育しました。この土は産卵率が良いので、2年前に買ったものを、今回のような産卵用に残しておいたものです。
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また、この土は、とても幼虫が大きくなります。それだけ、食い付きも良いので、すぐ糞だらけになるので、コンテナ飼育だと、これを1シーズンで2回使います(以前は8袋入りでした)。カブトムシの土に7000円…。かなりお買い得なマットではありますが、こどもも大きくなったし、ずっとこれを続けるのは…と考えて、昨年はホームセンターの腐葉土のみで飼育しました。値段は1/3です。やはり今年は小ぶりな成虫が結構いました。悩ましいですね。あと、幼虫の数も問題です。30-40匹はまだ良い方ですが、過去には80匹くらいになったこともあります。もちろん好きなので良いですが、多すぎるとちょっと大変ですね。たくさん羽化したら、知り合いの小児歯科クリニックにプレゼントしています。
話がそれましたが、このコンテナだと、20Lは余裕で入ります。
ここに、腐葉土を足してかさ上げしました。
これだけの量のマットを入れられると、湿度や温度をあまり気にせずに済みます。メスがこの中を移動しまくっても安心できるマットの量かなと思います。
アクリル板の保護シートを剥がす、楽しいけど結構大変
最後に、この上にDIYした飼育ケースを取りつけます。その前に大仕事があります。アクリル板の保護シートを剥がします。
すべての作業が終わってからでないと、アクリル板を傷つけてしまいますので、最後に剥がします。
溝にはめる設計だったので、端からは剥がせず、ちょっと剥がすのが大変でしたが、どんどん剥がしていきました。
完成、カブトリウム?!テラリウム風になった?
後面の樹皮が良い感じです。1面ベニヤで樹皮を貼る設計も考えていましたが、この斜めに貼るのも雰囲気がでて良かったです。
1匹入れてみました。良い感じです。
大きな木も入れます。
飼育小屋にもつかった原木にゼリー用の穴をあけた木です。飼育ケース用のサイズにしています。
これで、かなり雰囲気が出ました。
成虫を入れてみました。いい感じです。
このゼリー穴を開けた原木ですが、結構、この上でオス同士が喧嘩するので、見るのが楽しみです(後で動画のせてます)。いままでサイズ的に飼育ケースいっぱいいっぱいでしたが、これなら余裕を持って見ていられます。
おなかが空いているのか、今日はゼリーに夢中で喧嘩はしませんでした。
アクリル板がきれいなので、外から撮ってもこの美しさです。
まとめと動画
かなり前から構想していた飼育ケースができました。これで、鑑賞と産卵が両立できそうです。
ちょっとテラリウムみたいに仕上がって満足です。カブトリウムですね。
これで、クヌギの葉っぱとか上の方に飾れば、本当にテラリウムっぽくなりますね。
親が★になったら、上の部分は外して、9月下旬まで放っておけば、幼虫も回収できます。
今年は、梅雨寒でカブトムシも長生きしてくれそう。
また、この飼育ケースなら、多少暑くても土の中に逃げられるので、すぐには弱らないかなと思います。
作ってみて思ったのは、全高が55cmくらいあります。ここまで高くなくても良かったかも。
高さはアクリル板を切るのが面倒だったので、アクリル板にあわせて30cmでした。
背面を登れる設定にしておかないと、カブトムシはアクリル面はのぼれないので、それはそれでよかったかなと思いました。
この高さだと、天板からは、あまり見る形にはなりません。ただし、天板がアクリル板だと、上からの明かりが入るので、しっかり観察できるメリットがあります。
以上、カブトムシの屋内用飼育ケースのDIYでした。
追記(2021/4/30)
金網の後ろは、成虫の糞などで壁が汚れますので、直に壁の前に置かず、何か間に汚れを防ぐものを挟んで置いたほうが良いです。
【おまけ】
カブトムシのケンカのシーンを撮りました。角のパワーは凄いですね。
一瞬で飛ばされます。
最初に映っている黒い個体と、最後のケンカに勝つ個体は別の個体です。
なんで上にいるのかなあと思っていて、赤い個体も結構端の方にいました。実は、最後のケンカに勝つ黒い個体が縄張りを主張していて、彼がいる間は、他の二人はあまりゼリーに近づかなくなっていました。自然界の厳しさを垣間見れる観察ケースとなりました。この辺が成虫飼育の時期の醍醐味かなあと思います。成虫の時期が過ぎた後の蛹化や羽化の時期も神秘的で好きです。マニアックな記事ですみません…。
追記2019年7月20日
クヌギの葉っぱを入れてみました。雰囲気がさらに良くなりました。
下のコンテナケースの土の中ではメスがめっちゃ動いて、端っこで格闘しています(端っこにいてさらに潜ろうとしている時に音がするのでわかる)。ただ、土がある程度あって潜れるスペースがあるので、また違う方向に動いてくれると思います。
ちなみに、クヌギは1日でしおれます。生け花のように何か水分をあたえる工夫をしないと、青々とした葉っぱは維持できないですのでご注意ください。
さらに追記 50匹以上の幼虫が産まれました
この飼育ケースで、50匹以上の幼虫が産まれました。
詳細はこちらに
カブトリウムその後 50匹を超える幼虫が産まれました