にべ弓の握りを作る
お正月は、にべ弓のアンコづくりからです。
弓師さんは初打ちで忙しかったのかなあと想像しながら、こちらは、ちょっとゆっくり握り作りです。
といっても、1日から泊りの仕事がありましたが…。
なかなか今年も忙しそうです。
ハガキでのアンコづくり
握りに使うアンコですが、昔からハガキで作っています。
自分の好みに厚さにできて、手に合わせて加工もできるので、ずっとハガキ派です。
ゴムは苦手なんですが、まだ試していませんが、革製のアンコはありだと思っています。
牛革製がこちら
ゴム製はこちら
ハガキを幅に合わせて切る
すごく古い使っていない年賀ハガキがあったので、今回はこちらを使います。
弓の幅にあわせて25mmから、10mmまで作っていきます。
昔はもっとだいたいで作っていましたが、今回はブログ用にまじめに作っています。
下の方25mmから23mmくらいは、厚みを出したいので、2枚にしています。
18mm以降は2mm刻みにしたのですが結局、厚みが足りないと思って、1mm刻みにしました(結果的には少し厚すぎました…)
ハガキを重ねて貼り付ける
昔はそのままボンドを直接塗っていましたが、矧ぎ替えをするようになって、筆で塗るのが便利に感じたので、今回は筆で塗りました。
ずっと貼り続けて、できました。
勾配をどちらかにつけるとかは諸説ありますね。
私は真ん中派ですね。あまり細工もしません。
カーブに合わせて巻いておく
竹弓はカーブがあるので、それにあわせてアンコもカーブさせます。
ボンドが乾くまで、紐で巻きつけておきます。
1日にここまで作って仕事にいき、一晩乾かしました。
これで、弓のカーブに合わせたアンコの原型ができました。
できたアンコを削っていきます
今度は、節に合わせるのと、ハガキが段々になっているので、そこを削っていきます。
思ったより厚みがあったので、結局すこし厚みは減らしました。
こんな感じに仕上がりました。
後は、普通に握り作りで、いつも通り和紙を張って握りを作っていきます。
握り革の種類あれこれ
ここからは、単なる個人の好みと考えなので、握り革は自分の好みのものを使ってくださいね。
高校時代は、握り革はよく印伝付きのを使ったりしていました。
大学時代は、普通の握り革を使っていたように思います。
竹弓をメインに使うようになって、無地の鹿皮が主流になりました。
色は、師範がよく白を使っていたので(師範は流派の中でも格が高かったので白を使っていた可能性があり、私が使うのはふさわしくないかもしれないと思ったりもしています)白が多く、他に私は、緑、エンジ、グレー、黒などを使っていました。
にべ弓には、個人的には華美でない色(特に白)が似合うと思っています。
無地鹿皮はあたりハズレがあって、滑りすぎて手にしっくりこないことがあります。厚めのが良いですね。
なので、弓具店で実際に触って選ばないと気が済まない性分です。
ずっと鹿皮を使っていたのですが、これも結構滑ってしまう感じです。
師範の教えで、手の内はできるだけ柔らかく、手首が自由に動くくらい柔らかく握りなさいという指導でした。
そうなると、かなり柔らかくにぎるので(まだまだ不十分で力が入っていますが)、滑る握り皮だと、角見が効きにくい感じがあります。最近では、鹿皮でも不満に感じることが多くなりました。よっぽと感触が良い握り皮でないとしっかり角見が効く感じがしませんでした。
そこで、最近は、牛革の握り皮の裏を使っています。
牛革の表でも良いのですが、表は雨の時に、とても滑るようになり感覚が変わるので、避けています。大事な試合で雨が降ってコンディションが変わるのは避けたいです。
余談ですが、大きな大会では、雨がふると握り皮にタオルを巻いている先生をよく見かけます。握りのコンディションを大切にしている先生が多いですね。私もかけ袋に握りを保護する布を常備しています。これも決まったものは無いんですが、私はその布をソックスバンド(弓と矢筒をとめるバンド)を使ってとめています。私は車用の吸湿性のよい布を使っているんですが、それが良いのかはわかりません。ただ、一応雨の時巻いているとの握りのコンディションは維持できています。一番良い方法を知りたいですね。
で、牛革の裏なんですが、鹿皮より滑りにくく、手になじむ感じがします。
ただ、これはなめしの関係で、ザラザラ具合は個体差がかなりあって、触ってみないとわかりません。
コロナ禍で、何がつらいって、弓具店にいって、実際に手に取って握り皮が選べないのがつらいです。
ストックしていた気に入った握り皮もなくなりました。
牛革の握り皮は、安いというのも良かったです。
新革に挑戦
一方で、牛革の裏が困るのは、純粋な白が無いんですよね。
白の裏でもどうしても薄いグレーになってしまいます。
いろいろ皮も試してみていて、今回握り革用ではない牛革で、牛純白、という革を買ってみました。
ムラがありますが裏も白いです。ちょっと面白い皮でした。
握り皮用の触り心地とはまたちょっと違います。これはなめし加工の方法によると思うので、買ってみるまでわかりませんでした。
感触がおもしろく、一定方向には滑りにくく、反対には滑りやすい感じになっています。普段の牛革の裏でも多少向きによって摩擦が違う感じがしますが、これははっきりと違っていました。個人的には両方の向きで摩擦がかかっても別に良いのですが、今回、これで角見がかかる方向に摩擦が強い方を使って、反対にむきに摩擦が少ない方を使ってみます。
皮を、慣れている平行四辺形型に切りたかったのですが、摩擦面の方向をうまく取れず、結局正方形握り革にしました。
正方形握り革ですが、普段あまり使わないのですが、たまに見かけますね。
売っているのもあります。
正方形握り革の正式な張り方をよくわかっていないのですが、内竹側から張って、外竹側で閉じるように張っています。
なかなか、白でかつ固めの皮だと、なかなかきれいに張りにくいですね。
最後の処理に難渋しましたが、なんとか張れました。
握った感じは、自分好みの抵抗感があって、かなり良いです。
まあ、新にべ弓なので、しばらくは矢尺いっぱいにはひかないので、新握り皮も慣らしながらですね。
途中でだめそうだったら、普通の握り革に替えようと思っています。
握りを使ったので、にべ弓を張って調整
ちなみに、新にべ弓は、1か月外しっぱなしにして、裏反り20cm弱に戻ってきました。
握り革を作って久しぶりに張ってみました。
外す前と微妙に形がちがい、どこが形が変わっていきそうか、わかってきました。
同じ弓師の先生の合成の新弓と同じ傾向がある気がします。
上関板の下あたりの入木が強くなる傾向があります。これ、放っておくと、弓がひっくり返りやすくなるんですよね。気を付けたいです。あとは、胴が抜けやすい感じがします。合成の新弓もその傾向があるので、気を付けたいです。
まだ、弓師さんが整えてくれた形が残っているので、少しの修正で、送られてきたころの形になりました。
大事に育てて行きたいです。
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