弓を育てる。にべ弓の管理ができるようになったかな、と思えた瞬間。

にべ弓を使っています。

ブログでも何回か触れていますが、にべ弓を使っています。

大学の時から師範に勧められていて、五段の時から使っていて、かれこれ15年以上使っているでしょうか。
最初は師範に借りたものを使っていて、錬士に受かった時に一張、お祝いとしていただきました(といっても錬士受審までずっとその弓を使っていて、その弓で受かって、それをくださった)。

まだ、五段や錬士のときは「君にはまだ、扱いは無理だろうから…」と言われることが多く、しょっちゅう師範に形を見てもらっていました。

新しいにべ弓を初めて自分で調整

6年ほど前に、先生からも弓師の先生にお願いしていただいて、一張新しいにべ弓を使わせていただくことになりました。

働くようになって、師範のもとから距離的に離れてしまったので、稽古をつけていただくのは年に数回になっていました。
それでも10年近くにべ弓を使っていた時期なので、自分なりにいろいろと調整をしていました。

にべ弓を使うきっかけ

 私は最初に師範に貸して頂いたにべ弓を引いたときに、こんなに引き味がまろやかで、離れに冴えがあって、引くことがこんなに心地よいものかと感動しました。以来、本格的ににべ弓を引くようになりました。

その弓の形がとても好きで、今も調整はその形を真似しています。

 亡くなられてから知りましたが、その弓は師範が現役時代に、メインで使っていた弓のようでした。なので、師範から教わった技で引いている自分にはすごく合ったのかな、と思いました。師範が好んで使い調整した弓を、自分が引いて合う、というのは、師範の技を習得できつつある証拠かな、と思い嬉しく思っています。

にべ弓の成り

で、新しい弓を自分なりに調整していました。
調度、その頃、師範も弓師の先生に、私のよりだいぶ弱いですが、新しい弓を作っていただいていたようでした。

稽古で師範の弓を見せて頂き、自分の弓を見て頂く、認めてもらえたかな、と思えた瞬間

 あるとき、稽古にいったとき、師範がその弓の成りを見せてくれました。私が、いつも目指している形と一緒で、とても嬉しくなりました。
 その頃、私は、自分の新しい弓を、調整の初期の段階で下を押しすぎた時期があって、少し調整中でした。なので、張ったすぐは、すこし下が立った状態で張っていました。

 師範がそれを見て「ちょっと下が狭いんじゃないか」と言われましたが、「先生、ちょっと調整中で下が弱くなったので、そうしているんです。何本か引いたら調度良くなります」と言って、練習終わったころにもう一度弓を見て頂くと、師範の弓とほぼ同じ形になっていました。「うん、これならいい」と言ってくださいました。

 長く「君にはまだ無理だから」、といわれる時期があったのですが、これで、ちょっと認めてもらえたかな、と思えたのと、実際にちゃんと自分の調整で師範の弓と同じ形にできていたので、とても自信になりました。

引き方にあった弓の形

 究極的には、今調整している形は、師範と私の引き方にあった弓の形になっているのだと思います。たぶん、弓師さんに調整を頼んだら違う形になる可能性もあると思っています。弓師さんが引かせようと思っていると形と、自分にあった形はかならずしも一致しないのではないかと思っています。師範と出会えて、自分の引き方にあった弓の形を知ることができて、私は幸せだと思います。慣れないうちはもちろん弓師さんが調整してくれる形に従うのが良いと思います。その先の楽しみなのかなと思います。

 ちなみに、別のルートで手に入れたにべ弓があって、その弓はちょっと出木だったんですが、それを、1年以上時間をかけて、自分の好みの形にしていったら、かなり自分に合うようになって、その弓で審査に受かりました。ただ、ゼロから自分に合わせた弓の方が、引きやすいです。

 弓を育てる。そういうところが面白いと思っています。師範には「弓が体の一部と思えるようになるまで引きなさい」と言われました。実際審査に落ちていたころは、弓に引かされている感じで引いていました。良い結果が出ている時は、もう弓が体になじんで、体の一部と思えるようなっていることが多かったです。弓道は奥が深いですね。

(20200922少し加筆して修正しました)

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