2019年に笄が出たにべ弓
さて、2018年に笄が起きたにべ弓の調整を書いてきましたが(【弓道】笄の修理後のにべ弓の調整)、今回は2019年に笄が出た弓の話です。試合の1週間前に笄が起きるという不運でしたが、21kgで強くて使いこなせておらず、本番は別の先生にお借りしていた19kgのにべ弓で出ましたが(2018年の笄の弓はまだ使えず)、結果は散々でした。
2018年の時にくらべれば、損傷は小さいのですが、傷の大小はあまり問題ではないですね。このままでは使えません。修理に出しました。
私はもともと笄は多くない方と思っていましたが、2017年から3年連続出してしまっています。手の内が悪いのでしょうね…。
ちなみに、2017年と2018年の笄は派手だったので、きれいに動画に残っています(笑)。ただ、2019年のは終わってから気付きました。
この弓は師範の師範が使われていた弓で、その師範の息子さんに渡って、その息子さんが亡くなって弓具店に戻ってきたものだそうです。その弓具店さんと師範が懇意で、師範の元に連絡が来て、師範が私に連絡を下さって、10年ほど前に中古で購入させて頂いたものです。たぶん50年以上前の弓です。
昨年はそんな弓に笄を出してしまい、超ショックでした。試合前というより、この弓に笄を出したことがショックでした。
私は師範が使っていて調整した弓を引いて感動した、という経験があって(弓を育てる。にべ弓の管理ができるようになったかな、と思えた瞬間。←今回加筆修正しました) にべ弓を引いています。
この弓を購入した時、師範の師範の弓で、しかも師範の使っていた弓よりさらに強い弓で、これをしっかり使いこなせたらどんなに迫力のある良い射がでるのだろう、と思い描いていました。筋力をあげて、この弓を引きこなせるようになりたい、と思っていました。この弓を使いこなす、というのが私の弓道の目標でもありました。
当時結構この弓を使っていると、弓に詳しい方からは「もはやこれは芸術品で、壊れたら大変だから使うな」と言われることが多かったのですが…、やはり壊れてしまいました。
もちろん師範は使うつもりで私に購入をすすめてくれたと思うので、使ったことに後悔はないのですが、直るかどうかとても不安でした。
今回修理していただけ本当に良かったです。
修理が終わって戻ってきたのが4月、半年待って外す
4月に戻ってきたのですが、2018年の笄の弓が、少し早く外してしまった感じだったので、今回は粘りました。
ということで、先日外しました。
裏反りは1日経って18cm…、むむむ…思っていたよりは少なめ…、調整するにはもう少し欲しかったですね。これだと張り込みしにくい。なので、長期間張り込むのが良いわけでは無いようです。もちろん弓によると思うので、この弓はこれくらいなのかもしれません。(写真ではあるように見えますが、実際の感覚ではちょっと物足りない感じです)
と、思って、この弓の昔の笄前の裏反りの写真が残っていました。
2019年6月の裏反りです
この時は15cmでしたね。これなら18cmでも調整しがいがあって良い気がしてきました。この時点では50年近くの枯れた弓なので、これ以上裏反りが極端に深くなることは、ほぼありません。
たまたまですが、新弓と裏反りが同じくらい
新弓と並べてみると、裏反りが丁度同じくらいでした。
裏反りが揃うと気持ち良いですね、もう一張のにべ弓は、もう少し裏反りが強いです。
二張揃いの話
昔師範に『「二張揃い」って知ってるか』と聞かれたことがあります。
弓師さんが、同時に作って、強さも節も成りも裏反りも全く揃っている二張のことだそうです。
二張作って二張が同じになるわけではないので、実際にはもっと同じ条件の弓を複数張作って、揃ったのを二張揃いとするようです。
師範も見たことがあるそうですが、そのお持ちの先生が亡くなって(師範の先生にあたる先生なので相当昔の先生です。師範の師範とはまた別の先生です。)、形見分けで二張が別々の人のところに行ったので意味がなかった、と殘念がっておられた昔話を思い出しました。
師範にそんな話を聞いていたので、私も一度だけ二張揃いの実物を見たことがあるのですが、超有名な銘の弓が二張、節もそろっていて(裏反りは片方の使用が多かったようでわずかに違っていましたが)、とても美しい弓でした。
二張あると、何かあった時の替えが効くわけですね。交互に使えば弓も長持ちしますし、にべ弓でもたくさん矢数をかけることも可能ですね。しかも使用感が変わらず引き方を変えなくて良いというメリットがありますね。今の時代、お値段もするし、それとして(二張揃い)として売っているところも見たことがないので、もう作られていないのでしょうね。
今回、節は違っていますが、強さも同じくらいな感じがして(今回の笄あけの弓はまだ引いていないので正式な強さわかりません)、なんちゃってですが、二張揃いっぽくなって欲しいなあと思っています。まあ、合成とにべなので、そもそもが違うのですが…。同じ強さのにべ弓と合成弓があるのは、今後大きいです(個人的には夏場に合成を引くことを考えているので、合成の方がちょっと強いくらいが丁度良さそうです)。
ちなみに、今回「二張揃い」と表現しましたが、師範は「二張ゾロ」と言っていたように思います。後者のほうが正しいかもしれません。
弓具店の弦輪
今回初めて弓具店からの弦輪を外したわけなのですが、ちょっと特徴があります。
通常の弦輪と違います。
これは、弓に弦輪の交点の痕がつかないように、という工夫のようです。
通常の弦輪で何年も引いていると、弭のその交点の部分が少し窪んでしまうことあります。
これが、真ん中で窪まずに少しずれると、確かに気持ち悪い思いをすることがあります。
ただ、たまに、その窪みがつくのが嫌で、この弓具店さんの作り方の弦輪で普段から引いている人を見かけますが、個人的にはそれは間違っていると思います。
購入してからは自分の弓なので、窪んでも良いのです。自分の良いところで張り続けて窪んで痕がつくのは、返って良いと思います。真ん中で窪まないのは自分の責任ですし、その弓にとって真ん中が正解かもわかりませんし。まあ、誰かに讓るつもりで引いているなら別ですが…。
弦輪の作り方は、おそらくかなり古い時代から今の結び方になったと思います。歴史があり、利点があり、その形になっていると思います。
というわけで、これからは自分の調整の腕次第ですので、弦輪を通常の形に戻して張ります。
あらためて張ってみた成り
そして、初めて外した後、あらためて張ってみると…
ちょっと胴抜け…。もともとやや胴抜け気味の弓でしたが…。
上から見ると…。
ちなみに4月の届いた外す前の形がこちら
ちなみに2019年6月の成り
これから、また調整がんばります。
内竹と外竹の年代が違うので、なかなか調整が難しそうです。
書いているうちに、たくさん書き足して、なんか情報が散漫した記事になってしまいました…。
読んでいただきありがとうございました。
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