【弓道】美しい竹弓の側木、シコ杢、うずら杢

竹弓の側木

竹弓には、とてもきれいな側木の弓があります。
今日は側木のお話です。
 
竹弓の側木は櫨が良いとされていますが、桜や楓なども使われることがあるようです。
私の師範は、とても弓が好きな人でしたので、とても貴重な弓を持っておられました。
本当にきれいなしこ杢の弓もお持ちでした。

交錯木理の話

 きれいな側木はいろんな種類があり、名前もついているものもあるのですが、その中で、見る角度や光によって、変化する側木を見ることがあります
 側木の模様を気にするようになって、いろんな竹弓をよく見てみると、多かれ少なかれ、光によって変化がみられる弓があるように思われました。
 後半に紹介する、うずら杢の原理がよくわからないのですが、光によって変化する木目をすこし調べてみました。
 
 これは、 「朝日ウッドテック株式会社」さんの木材の紹介ですが、光によって木目が変わるのがよくわかります。
 

 
 
引用させていただくと
「多くの樹木は、時計回りか反時計回りに回りながら成長していきますが、熱帯産の樹種の中には周期的にその周り方が変化するものがあり、サペリもそのひとつです。すると、木の繊維方向がいくつかの年輪層ごとに交互になるのですが、この木を柾目取りすると現れるのが「交錯木理(リボン杢)」です」。
 
 木材の世界では、「リボン杢」、と言われているものが多いようです。
 木材の「光沢」「照り」「照りの移動」などでも検索されます。
 
↓こちらはその会社の出しているPDFです。
交錯木理の原理や、きれいな杢が紹介されています。

いろいろな杢や、楽器の交錯木理

 いろいろ見ていると、弓以外だと、ギターやヴァイオリンに使われる縞の模様が有名ですね。ギターの縞の木材は、楓(メープル)材が多いようです。竹弓もシコ杢の一部は楓などの木材かもしれません。
 
杢について―装飾性の高い自然の美しさ―【694号】 | 無垢フローリング・無垢材・無垢内装材|マルホン 
 
木目や杢目のあれやこれ。 – SOAR MUSIC 新着トピックス
 
杢の種類 
 
 
Youtubeでもきれいなものが紹介されています。
 
東京の2014ヒスコレの杢目一発撮り初回
 

 
↑ギターのきれいな交錯木理です。
 
ヴァイオリン・販売・Guarneri Model・裏板・虎杢・中国製
 

 
こちらはキレイな虎杢です。光で模様が変わるかはちょっとわかりにくいですが、杢がきれいです。
 
バイオリン・裏板・杢・虎杢・楓・綺麗な材料
↑バイオリンの裏板もきれいですね。
 
 
こちらはペンの素材です。見る角度によって見え方が変わるのがよくわかります。
 
杢の観察 〜カスタムグリップ ハワイアンコアB〜 
 

弓道の側木の杢

検索しますと、竹弓の杢について記載されているページが見つかります。
 
kenさんのBLOGS 竹弓
シコ杢、縄目杢、鶉杢、梨子目杢、龍杢、などの絵があります。
 
側木の杢 | 御弓師 柴田勘十郎のブログ
柴田勘十郎先生の鶉杢の紹介です。
 
 
弓 「はじ弓」には何の木を使ったのか
こちらは、弓の側木の事が詳しいです。
うずら杢についての記載もあります。
 
師範が所有されていたシコ杢
とてもきれいなシコ杢でした。おそらく光で変化する交錯木理だと思います。
(昔の写真でそれを確認していませんでした…)
 
 
横山黎明先生のFacebookでもきれいな杢が紹介されています。
 
 

交錯木理の側木

杢はいろいろあるのですが、おそらく交錯木理になっていて、きれいに光で変化する側木があります。
今回、知り合いの方から、撮影の許可を頂き、お借りしました。
持ち主と銘を言わない約束でお借りしました。
撮影はライトでも試してみたのですが、あまりきれいに撮れず、自然光がとてもきれいに撮れます。
わが家の構造上、朝の5時台の30分だけ、スリット状に朝日の光が入り、きれいに撮影できます。
天気が良い日しかとれず、2日に分けてとっています。このために早起きしました。

模様の幅が太めのコントラストの強い側木の弓

 
 
この杢をなんと表現して良いかわかりませんが、コントラストがきれいで、とても美しいです。
 
少し下から見た側木
 
少し上から見た側木
 
視点によって、色が変わる感じがわかると思います。飾り籐付近の杢ですが、色が変わっています。
 
 
【弓道】見る角度で模様が変わる側木 幅の広い模様
https://youtu.be/E6BqZCRPZh0
 

 
動画にしてみました。見る角度によって違う感じがわかりますでしょうか。

シコ杢の弓

 
 
シコ杢の弓です。
 
斜め上から見た側木
 
ほぼ横から見た側木
 
少し下から見た側木
 
 
光での模様の変化がうまく伝わると良いのですが。
シコ杢は、楽器でいうと虎杢に近い模様で、光で変化するのは、木材の世界でいうリボン杢で作られたものだと思います。
師範のものや、横山先生のものとは違い、割と控えめなシコ杢の印象でした。主張しすぎないで良い感じです。
 
【弓道】竹弓の側木、シコ杢、交錯木理
https://youtu.be/8K2VV6H-IDo
 
 

うずら杢の弓

 
 
 
 
  
 
あまり見かけることの少ないうずら杢の弓です。
普通に横からみると、模様はあまり見えず、光にかざして、特定の位置からこの模様が見えます。
 
斜め上から見た側木
 
ほぼ真横からみた側木
 
斜め下から見た側木
 
 
自然光に照らされると、とても美しく光り、見入ってしまいます。
 
【弓道】竹弓のうずら杢の側木 光の角度で見え方が変わる
https://youtu.be/IHJdHSumD2o
 
 

 
光の加減や位置や明るさを微妙に変えていろいろ撮ってみました。
師範から教わった話では、シコ杢は出来上がる前から杢がでるのが分かっているそうですが(見た目にすでに模様がでているものを使う)、うずら杢は完成するまで、杢が出るかわからないそうです。
うずら杢も交錯木理と原理は一緒だと思うのですが、木材の世界でいうリボン杢とはちょっと違う印象です。かなり表面だけの変化なのでしょうか。また、櫨独特の変化なのでしょうか。なぜ、このようなきれいな模様が出るのか不思議です。
動画は模様が特に目立つ条件下で撮影しているのでキレイですが、普通の蛍光灯下では、一見してはうずら杢とはわかりません。傾けたりしたら、わかる印象です。
 
 
ちなみに、フラッシュをたかない場合と、たいた場合でこんなに違います。
1枚目がうずら杢が見える状態で、2枚目が同じ位置でフラッシュをたいたものです。
 
 弓道の世界での「うずら杢」の定義が、私もよくわかっていないのですが、光で変化する模様を「うずら杢」と言われていることが多いでしょうか。単なる鶉の模様を「うずら杢」という場合もあるようですし、今回のように光で変化してかつ鶉の模様なのが「うずら杢」というのかもしれません。
いつか弓具店さんや弓師さんに聞いてみたいと思います。

弓道の魅力、竹弓の魅力

日本の弓はとても美しいと思います。
竹弓でしか味わえない引き味、離れの軽さ、冴え、があると思います。
また、道具にはこういった芸術品的に美しいものもあります。
眺めているだけでも楽しいですね。
 
 
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