弓の強さと裏反り、矢飛びの違い

矢勢が良い弓、悪い弓

 竹弓を使っていると、矢勢が良い弓、良くない弓といったことを実感することがあると思います。

 もちろん、カーボン製など、新素材の弓でも、素材によってそういう経験をされた方は多いと思います。
 
 試合が近いので、先日の練習で、番える位置や狙いなどを微調整していました。
いつもは、同じ強さの弓を替弓として調整しているのですが、今回は夏場用に、替弓を1kg強い弓にして調整することにしました。

 この2張の組み合わせで、細かい狙いなど微調整をしたことがなかったので、あまり気にしていなかったのですが、調整した結果、強い弓の方が、下に飛びます。
 

試合に向けて2張の弓の調整

試合で使おうと思っているのは18kgの弓で、新弓のときは19kgくらいで、今は夏場は17kg台まで下がる弓になっています。裏反りは15cmくらいあり、自分で初めて調整したにべ弓でお気に入りです。審査も試合も、この弓で多く出ています。ただ、現状としては、少し弱いのが悩ましいですが、肘の調子も悪いので、この弓に戻しています。

 
今回、替弓として調整しているのは、同じ先生の作で、年配の先生から譲って頂いたものですが、19kgあります。引いている感じはやはり強いと感じます。ただ、この弓の特徴は、裏反りがないことです。正直いうと、冴えがありません。あまり、引いてもおもしろく無い弓です。

狙いを調整してみると、強い弓の方が届かない

 18kgの方で、番える位置、狙いを調整し、大体中る位置を確認したあと、19kgの方で引くと、6時に外れます…。引き方が悪かったかな、と思って何回か引きましたが、同じでした。矢の勢いもない感じです。19kg同士で調整していた時は、作者も違うし、弓の個性と思っていましたが、改めて、同じ先生作の弓で、はっきりと比べると、違うもんだなあと感じました。裏反りがある弓の方が、矢飛びが良いです。

 というわけで、19kgの方を筈1/4下げて番えることで、同じ狙いで引けそうなので、今回はこれで行こうと思います。強い弓の方の筈を低く番えることになるとは…
矢勢に関しては、裏反りだけでなく、下が強い、上が強いといった成りも関係してくると思います。ただ、今回は同じ作者の弓で、張顔はそんなに変わらないので、冴えや矢飛びには裏反りが一番関係がありそうでした。

弓師の先生の話、全てを叶える弓は無いとのこと

 先日、弓師の先生と御話したときに、すべてを叶える弓は無いとのお話でした。なので、前者の弓は冴えはあるけど壊れる可能性がある弓、後者の弓は、丈夫な弓、壊れにくい弓、ということになります。冴えや矢飛びを取るか、丈夫さを取るか、という選択になります。

 どちらを使うか考えてみると、やはり、1から自分で調整した弓が一番合っているので、今回はこれで行こうと思います。

 本心は21kgが引きたいのですが…。

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5 件のコメント

  • 大変楽しく読ませていただきました。30年ぶりに弓道を再開し、自宅の巻藁で、兼ねて抱いていた疑問に対し少しずつ物理的な解明を楽しみとしている者です。その中で裏反りと矢飛との関係にも少し触れる機会がありました。結果的には会の状態で蓄えられたエネルギー(これが裏反りと関係)と矢への移行率が矢の初速を決めると云う味も素っ気もないものとなりましたが、裏反りが大きくて暴れる弓を御する楽しみも、素直でやさしい弓を心静かに引く楽しみも何れも捨てがたい弓の楽しみでこれらを否定するものでは無いと感じています。よろしければデータで語る弓道について、メールでのお付き合いをいただければ幸いです。

  • 初めまして。竹弓について困っていて、いろいろ検索していたところ、こちらを見つけました。
    質問してもいいでしょうか。
    私も30年ぶりに弓道を再開しました。
    高校の時は、家にあった祖父の竹弓を引いていました。祖父がいつ引いていたのかは定かではありませんがその頃ですでに20年位前に購入したものと思われます。
    今回再開し、その竹弓をまた使いたいと思っていますが、30年まったく張っておらず、どのように再開したらよいのか困っています。
    裏反りもしているので張るのも怖いくらい硬く感じます。
    引けるようになるまで、どのようにしてあげたらよいのでしょう。
    是非教えていただけると大変助かります。

    • コメントありがとうございます。
      ご祖父様が使っておられた弓で、50年くらい前の竹弓ということですね。
      一番確実なのは、近くの竹弓を扱っている弓具店でみてもらうのが良いと思います。

      ここからは私の考えですが、その弓がにべ弓なのか、合成接着剤の弓なのかで扱い(というか使えるかどうか)がかわると思います。合成接着剤の弓の場合、50年だと、耐用年数的に厳しいかもしれません。ニベ弓ならまだ使えるかもしれません(初代肥後三郎先生は著書の中でニベ弓は80年使える弓と書いておられたように記憶しています)。

      裏反りが一人で張れそうな深さであれば、私の今の環境であれば、まずは電気コンロで熱をかけてから、ゆっくり張ってみると思います。ただ、年数が経っているので、この時に接着剤が剥がれたりして、破損する可能性があると思います。張れれば形を整えて、しばらく置いて、新弓のように調整していくと思います。
      私自身は過去に、古い弓を譲り受けて、張ってみたところ、下関板が剥がれて使えなかったことがあります。
      ご参考になれば幸いです。

      • お返事ありがとうございます。ニベ弓かどうかが大事なんですね。見ただけでは私にはニベ弓なのか合成接着剤なのかよくわからないので弓の修理も行っている弓具店に行ってみようと思います。
        せっかく引き継いだ竹弓ですので大事に使ってみたいと思います。
        ありがとうございました。

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