家族が急に車椅子生活になる
家族が急に車椅子生活になると、なかなか大変です。
特に車での外出がなかなかハードルが高くなります。
車に車椅子が載せられたりシートが飛び出してくるような福祉車両もありますが、レンタルを頼んでも3か月待ちといわれたりなかなか思うようにいきません。
スロープをつけたりして車自体を改造するのはすごくお金がかかります。既存の車を改造するよりも中古の福祉車両を買うのが一番現実的かもしれません。
ただ、病気の種類によっては、短期間の可能性もあったりして、購入するのも悩ましいです。
さて、今回は実際にそういう状況になってみて、既存の車(トヨタヴェルファイア平成26年式)に楽に移乗するステップを考え出してDIYしたので紹介です。
良かったポイントをまとめます
・車に横付けするステップを作成
・車いすとシートの座面が同じ高さになる
・車側のステップに板をかけているので車椅子がかなり近くまで寄れる
・約40cm座面をあげる必要があるが、20cmの低いステップもつくったので、スロープがなくても2段階で登ることが可能
(スロープはあれば楽)
・折りたためて車に載せられる!
・車側の改造は一切不要、特殊車両でなくてOK
・予算が1万5千円
・本気で作れば1日で作れる(材料があってDIYにかなり慣れていることが前提)
まずは完成品の移乗の紹介(実際の動画あり)
こちらの動画もご覧ください。
【ヴェルファイアに車椅子から移乗するためのステップのDIY】特殊車両で無くてもOK。車載可能。右半身麻痺実践あり
まず低いステップに乗ります
ヴェルファイアの座面までは約40cm上がらないといけないので、2段階であがります。
高いステップに移動します。
座面に車椅子を近づけます。
移乗用のボードを使って移乗します。
車に移乗できました
降りる時も移乗用ボードを使います。
車椅子に移乗できました。
後はまたステップを降りていきます
スペースがなければ、スロープを使わずに高いステップに移ることもできます。
ちなみ、移乗用に使った板は、9mm厚のパインの集成材です。普通の移乗用のボードだと少し短いです。
右側の青いシートは、移乗の時に非常に役に立つ良く滑るシートです。おすすめです。
これは72×72cmなんですが、72cm×120cmを買いました。
楽天では在庫が無いようですが、アマゾンでは120cmのものがまだありました。
ステップを収納して車に載せる
外出先でも使えないと意味がないので、折りたたんで収納できるようにようにしました。
サードシートの1座席使ってしまいますが、車椅子対応の福祉車両でも、1座席は乗れなくなるので、そんなにデメリットでもないように思います。
まずは高いステップを折りたたみバックルで留めます
バックルないとパタンパタン開きます。
足はパッチン錠で折りたためるようにしています。
また、これもかなりパタパタ開くのでマジックテープをつけました。
反対側の足もたたみます。
どうしても安定感が必要なので、重量があります。運ぶのが大変なので、キャスターをつけました。
キャスターを利用して運べます。
また、自立できるようにもしました。
低いステップも折りたためるようにしています。
次に収納ですが、底面の板に家具用の滑るシートをつけました。
サードシートの片方に乗せていきます。低いステップも載せます。
最後に車椅子も載せてバックドアを閉めて車載完了です。
以上が、実際の移乗と収納でした。
実際の制作について 設計図
DIYのブログなので、ここからは製作の記事になります。
ブログ用に図面にしましたが、もともとはこの手書きの図面で考えて作りました。
構想を練って、ホームセンターでカットしてもらえるところはしてもらって、残りは自分で切りました。作っていくうちに設計が変っていっていましたが、自分のDIYはいつもそんな感じです。
そもそもの発想はこちら(パッチン錠を使った折りたたみ作業台の作成)からです。
これがあったので、折りたたみ式のステップを考案できました。
最初の手書き図面
参考:スケッチアップで後から書いた図面
座面の高さ
車いすの座面の高さと、ベルファイアのステップからシートの高さがほぼ同じ43cmでした。
ステップまでの高さが37cmあります。
なので、ヴェルファイアに乗るためには、車いすから37cm引き上げないと乗れないということになります。
実際の移乗では二人かがかりで持ち上げる感じになっていました。
しかも体重が60kg前後でしたので、女性二人でもなかなか大変でした。
そこで、考え付いたのがこのステップです。
スライドドアが開いた状態では、約40cmの奥行きが必要です。
フロントドア側は30cm弱あればよさそうです。
横幅は、ベニヤを半分に切ると90cmになるのですが、90cm四方だとちょっと車椅子の回転に余裕がないことが多いです。
今回は縦を120cm、横はスライドドア側を90cmフロントドア側を100cmにして、ステップに対して板が乗るように設計します。
材料の買い出しや切り出し
左上のベニヤ(パネコート)を直線の部分は切ってもらいました。
2×4材は、安いところで多めに買って自分で切り、その後足りない分は近所で買いその際は切ってもらいました。
2×4材は自分で切って
ベニヤや頼める部分はホームセンターでカットしてもらいました。
低いステップの作成
低いステップの作成は比較的シンプルです。
設計図のせていないですが、足は12cmで、2×4の厚み4cmとベニヤのあつみ1.5cmで、17.5cmのステップになりました。
もともとはこちらも足を折りたためるように金具を買っていたのですが、つくってみて不要だと思いました。
また、縦の2×4材は最初4本渡すつもりだったのですが、ベニヤをずらせてつけて、1つの2×4材に2枚のベニヤを乗せると縦の木材は3本でいけそうだったので、3本に減らしています。ベニヤをずらして取り付けるのはあとから思いつき、向かって左側の方は、2×4材がベニヤと端合わせではなく、5cm内側に入っています。事前にわかっていれば、もう5cm長く作って端を合わせたかったですね。角は車椅子が乗りあがる際は重要なので、その一辺は乗りあげにくい印象です。
高いステップの作成
長方形の方から作りました。
仮置きして、まずは長方形を作ります。
写真ないですが、ビスは8mmドリルで半分くらい穴をあけてから打ち込んでいます。70~90のコーススレッドを使いました。
↑これは屋根裏収納の時の写真です。
で、足を付けました。写真撮り忘れていますが、このあと内側に蝶番もつけています。
この折りたたみステップの肝になるパッチン錠です。
しかも、取り付けの際にかなりきつめに作ると、より安定します。
実際のはこちらです。弓のケース用に5セット(計15個)買ってました。
必ずしもツルが長い必要はありませんので、こちらでも良いと思います。
【製品名】製品詳細│APPIT アピット シブタニの設備機器向け製品
ELP-200-2 パチン錠(ステンレス) 1個 シブタニ 【通販モノタロウ】
ステップの高さを確認
別の板をつかっていますが、高さが車のステップと丁度良いことを確認します。
変形の板の切り出し
変形している方の板を切り出します。
うまく合いそうです。
全てできた後の反省として、結果的には張り出した部分は長さ50cmにしていましたが、60cmにして、スライドドア側のステップに乗せるところを斜めにきるとよりタイヤなどの取り回しが良くなりそうです
実際の図面(ステップにかかる角は後から切り落としています)
さらに良くするには
この設計図でも良さそうです。
変形の方の台の足
変形の方の台の足の仮置き
実際の組立
足ができました。
ちなみに、お気づきかもしれませんが、長い木材の位置が逆になっていますので、足を外してもう一度組みなおしています。
ショックでやりなおした後の写真撮り忘れています。
この後、ベニヤを先に蝶番でつないだ後、変形の板にこの足をつけて完了でした。
一応完成 実際に使えました
これで一応実用できるまで完成しました。
で、実際にこの状態で使えました。
二つのステップはクランプで固定しています。
持ち運びできるように工夫をして完成
1回使ってみて、取っ手とかがなくてつらかったので、そのあたりを作っていきます。
ファスナーテープ(マジックテープ)とベルト、PPテープを100均で買いました。
足がパタパタするのを防ぐのにマジックテープ固定。
バックルを切ってねじ止めしました。
PPテープで取っ手もつけました。
タイヤもつけました。
角を丸めました。
車に載せるために、家具を滑らすシートを張りました。
板の周囲をスポンジテープで保護しました。
スライドドア側の角を落として隙間がより開かないようにしました。(前述したように、このように使うなら、渡しになる板の部分は50cmでなく60cmで良いことになります。その方がより移乗しやすいと思います。)
これ、車載も楽になりました。
後日、より運びやすいように大きめの取っ手もつけました。
タイヤも直線でなく自在のものに変えました。
まとめ
ヴェルファイアに乗るためのステップのDIYでした。
急に必要になったので、急いでつくりましたが、なんとかなりました。
いろいろ介助用品を検索したのですが、車いすの方を持ち上げて移乗する、という発想のものは見かけませんでした。
大きな車だとドアは大きく開くのでその部分では小さい車よりかなり乗せやすいのですが、座面が高いのが悩ましいので、この方法でクリアできそうです。
個人的にはパッチン錠で足を作るのがポイントで、強度と折りたたみ機能を両立できるので良かったです。
こんなステップいかがでしょうか。
現在の使用の範囲では怪我、事故は起きていませんが、このステップを参考にされての事故の責任は負えませんのでご了承ください。
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